M252 81mm 迫撃砲
M252 81mm 迫撃砲(M252 Mortar)は、アメリカ軍が使用している迫撃砲である。
概要
[編集]イギリスのL16 81mm 迫撃砲を原型に開発された物で、原型よりも重くなっている。
アルミ合金の鋳物で作られた砲身を持ち、非常に軽量で、第二次世界大戦当時の80mmクラスの迫撃砲が60kg強だったのに対して41.27kgしかない。M253砲身(16kg)、M177支持架(12kg)、M3A1底板(13kg)、M64A1照準器(1.1kg)に分解して運ぶことができる。
砲身には冷却用のフィンが付いており、砲口にはBlast Attenuation Device(BAD)が取り付けられて、兵士への砲煙と音の影響を減らしている。
操作
[編集]人員
[編集]M252は、5人の操作員で使用する。内訳は分隊長、射手、副射手、第一弾薬運搬手、第二弾薬運搬手である。
- 分隊長は、自己の管轄下にある迫撃砲のすぐ後ろに立つ 。また、分隊の失敗に対し全責任を持ち、砲の備え付け・展開・射撃を監督する。
- 射手は、自身がハンドルを操作し、照準を行う迫撃砲の左に立つ。射撃諸元を元に照準し、砲の横角や仰角を変化させる。大きい仰角変化は二脚を動かすことで行い、また、射撃中に水準器を保持する。
- 副射撃手は、迫撃砲の右に立ち、砲身を覗き装填の準備をする。また、装填に加えて、10回の射撃ごとに(あるいは砲の解体前に)砲身を掃除する。副射手は実際に射撃する人物になる。
- 第一弾薬運搬手は、迫撃砲の右後ろに立ち、弾薬を信管などの設定を行い副射手に渡す責務がある。
- 第二弾薬運搬手は、第一運搬手の後ろに立ち、それぞれの射撃任務に対応するデータに加えて弾薬に関する記録を記録・保持する。彼の二面記録は射撃データ表・種類・射撃回数を含み、また、表の精度に物証を与えるため、発射した弾薬の引き抜かれた安全ピンを持ち帰る。加えて、迫撃砲の設置地点に対して安全を提供する。
弾薬の種類
[編集]M252は、指定された特定の弾薬を用いるが、M29 81mm 迫撃砲からでも発射できる。
M252は、以下の主要な実弾と訓練弾を発射する。
- 高性能炸薬:M821, M821A1, M889, M889A1, M362, M372シリーズ。対人・ソフトスキン目標に対し用いる。
- 煙幕弾:M819, M375シリーズ。掩護、合図、マーキングなどに用いる。
- 照明弾:M853A1, M301シリーズ。照明が必要な作戦において観測支援に用いる。
- 訓練弾:M880, M879, M68。制限された地域での訓練に用いる。
- 赤外線照明:赤外線暗視装置によってのみ認識できる照明を展開する。
信管
[編集]M224砲弾には、マルチオプション信管(M734)と弾頭信管(M935)の2つの信管タイプがあり、マルチオプション信管では爆発高度を指定することが出来る。
戦歴
[編集]アメリカ軍は、M29 81mm 迫撃砲の後継として、1982年のフォークランド紛争でイギリス軍が使用したL16 81mm 迫撃砲に注目し、改良を加えた上でM252として制式採用した。1986年から海兵隊に、翌1987年には陸軍へ配備が開始された。海兵隊、陸軍共にM252を歩兵大隊の迫撃砲小隊に配備し、間接射撃による歩兵中隊への火力支援を担当する。
配備年から考えると、早ければパナマ侵攻、遅くとも湾岸戦争で初めて実戦投入されたと推定される。
諸元・性能
[編集]諸元
- 重量: 41.27kg
- 全長: 838mm
- 砲員数: 5名
性能
- 旋回角: 全周
- 有効射程: 83-5,675m
- 最大射程: 5,675m
- 発射速度: 20発/分(最大), 12発/分(通常)
砲弾・装薬
登場作品
[編集]映画
[編集]- 『世界侵略: ロサンゼルス決戦』
- 前線基地防衛のために火力支援を行っているシーンがある。